日銀がマイナス金利を解除する時期は?

1月23日、日銀の政策決定会合の後、植田総裁は「物価目標の実現が見通せるようになれば、マイナス金利を含む大規模な金融緩和策の是非を検討していく」と述べました。物価見通しは4年連続で目標の2%程度が視野に入り、金融政策の正常化に踏み出すためにあと必要なものは、持続的な大幅な賃金の引き上げを確認することだけになりました。

3月中には大企業の春季労使交渉の結果だけでなく、中小企業も含めて賃上げを確認することができるため、4月の政策決定会合で日銀は、マイナス金利解除に動くのではないかと予想しています。

皮肉にも新型コロナウィルス禍が、日本経済の低成長、低金利、低インフレといった「長期停滞」にショック療法的な役割を果たすことになったわけですが、今回のタイミングを逃せば、金融政策を正常化に戻すのは難しくなるでしょう。

なぜなら、30年ぶりの大幅な賃上げだった昨年を上回る賃上げを今年も実現し、しかも、持続的に物価目標を達成するためには、継続的に賃上げをする必要があることから、大企業にはできても、体力に劣る中小企業はついていけなくなる可能性があり、先行き不透明感が強いからです。

また、欧米では既にインフレ圧力が落ち着いてきており、景気減速懸念も出てきていることから、米国連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は、今年中に利下げに動く可能性も高まっています。さらに、中国経済の停滞も日本企業の業績に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。したがって、日本の消費者物価指数(CPI)の上昇も落ち着き、再びデフレを懸念させるような状況になる可能性もゼロではありません。

このような状況下で、4月に日銀がマイナス金利を解除したとしても、継続的な利上げはできないものと思われます。また、マイナス金利解除後の長期金利(1月26日現在、10年物国債利回り0.7%台)は、1.0%~1.2%程度まで上昇するのではないかと予想しています。